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在宅で療養されている患者さんのおよそ70%が、何らかの皮膚トラブルを抱えていることが報告されています。
日頃より介護をされている方は、介護が必要なご家族のために、さまざまな心配りをされていることでしょう。
その日々の中で、ちょっとした変化に気づかれることがあると思います。
「あれ、お尻に赤いところがある」「最近、食が細くなってきたなぁ」など、このような気づきは、
皮膚トラブルのサインかもしれません。
気になることは、医療・ケアスタッフ等にご相談ください。
ここでは、皮膚トラブルの原因や、ご自宅でできる対策などをご紹介していきます。
◎よく見られる症状1⃣ ~乾燥肌~
・乾燥してカサつく、白く粉をふく
・すぐにひび割れてしまう
・かゆみに敏感でかきむしってしまう
すねや腰に生じることが多いですが、手先や背中など含め全身に現れることがあります。
服がすれるだけでかゆかったり、ひび割れが痛むとつらいですので早めに対策を取りましょう。
皮膚の乾燥は、皮膚の一番外側の部分である角質層の「保湿力」が低下し、水分量が減少している状態です。
「保湿力」を保持するために、低下させてしまう原因を取り除いていきましょう。
【保湿力を低下させる原因】
・加齢(主原因)
・栄養不足
・お部屋の乾燥
・お風呂の長湯、熱すぎる温度⇒皮脂が奪われ、乾燥が進んでしまう
・ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗う
・化学繊維、ウールなどチクチクする衣服
悪化すると肌はさらに脆弱になり、通常の医療用ケアや療養生活の中で、
皮膚がずれただけでも傷になるという状態になりかねません。
日常生活の中でできる対策をお伝えします。
【対策】
皮膚を清潔に保ち、乾燥から守りましょう
・お部屋の湿度を40%以上に保つ。特に冬場は加湿器等で調整しましょう。
・入浴はぬるま湯で。
・石鹸やボディソープは弱酸性のもので、泡状にする。
・手かやわらかいタオルでやさしく洗って、やさしく拭き取る。
・入浴後は、必ず保湿剤を塗り、水分を摂る。
保湿剤を塗る時間がない場合は、保湿効果のある入浴剤を使用することもできます。
・肌の露出を避け、長袖や肌に刺激のない衣服や寝具を選ぶ。
このようなことで、皮膚の「水分」と「油分」を適度に保てるようにしましょう。
◎よく見られる症状 2⃣ ~おむつかぶれ~
おむつかぶれで皮膚がふやけ、傷になりやすくなっている。
【原因】
・尿や便の接触による刺激。
・汗や尿によって蒸れている。
・汚れのふき取りによるこすれ。
⇒バリア機能が低下。
【対策】
・水分をはじく保護クリームを塗る。
・できるだけ、排泄のたびにおむつ交換をする。
・汚れはぬるま湯でやさしく洗うか、やさしく拭き取る。
・乾いた状態でおむつをはかせる
次に、スキンケアのポイントとなる保湿剤についてお伝えします。
保湿剤には、2種類あります。
①油脂の膜で皮膚を覆い、水分蒸発を防ぐもの…白色ワセリン、オリーブ油など
②角質層に水分を保持するもの…尿素製剤、ヘパリン類似物質、ヒアルロン酸、セラミドなど
これらを肌の状態に合わせて、使いましょう。
ポイントは、毎日 ・必要な量を ・やさしく 塗ることです。
☆おむつかぶれには、保湿に加え、撥水クリームなどを使用し、水分や排泄物から皮膚をまもることも大切です。
◎よく見られる症状3⃣ ~褥瘡(床ずれ)~
・皮膚がただれたり、傷ができている
・傷が深い
・浸出液が出てジュクジュクしている
【原因】
・体力が落ちて動けない
・寝たきりなどによって、長時間 同じ場所が圧迫されている
さらにその部分に、摩擦や皮膚のずれが加わる
・栄養不足
・やせていて骨が突出している
椅子に座っている際や、横になっている間に、ご自分で姿勢を変えることができない場合、同じ場所に圧力がかかり続けてしまいます。
その結果、血管や組織が押しつぶされ血流が悪くなり、酸素や栄養が行きわたらないことで、傷ができやすくなってしまうのです。
特に、骨が当たりやすいところでは、かかる圧力が大きくなるので注意が必要です。
【褥瘡の症状】
褥瘡ができ始めてから1~2週間は、皮膚に赤みや水ぶくれなどができます。
その後、赤みが消えて治ることもありますが、治らずに傷が深くなっていくことがあります。
浅い褥瘡は、新しい皮膚をつくる細胞が残っているため、比較的短時間で治ります。
深い褥瘡には死んだ組織が多くあり、それを取り除くことで初めて新しい組織ができ、傷が治っていきます。
治るまでに長い期間を要します。
気づいた時には既に傷の深い褥瘡になっているケースもありますが、
発赤を発見したら、それは褥瘡ができ始めたサインかもしれません。
慢性期に移行する前に適切な対処ができれば、治癒までに要する期間も短縮できます。
皮膚に赤みが生じる原因は様々ですが、
発赤が見られたら、その発赤が褥瘡になる発赤なのかを見分ける必要があります。
ここで、見分けるためのチェック方法をお伝えします。
【チェック方法】
発赤部分を指で3秒押して離したときに、白っぽく変化するかを見ます。
→ 白っぽく変化した後すぐに元の発赤の状態に戻れば、通常の反応であり褥瘡ではありません。
(褥瘡ではない他の要因が考えられます。)
→ 白く変化しなかった場合は、血管の破綻による
「持続する発赤」であり、褥瘡の可能性があります。
(血管が破綻し内出血や血流障害が起きている可能性が考えられます。)
【対策】~日常生活の中で~
★体の表面に加わる圧力を一部分に集中させずに、分散させましょう
・体の向きや姿勢を変えてあげる
・体の形にフィットしたり適度な硬さ(反発力)のあるマットレスを使う
→福祉用具は、介護保険でレンタルまたは購入できるものがあるので、ケアマネージャー等にご相談ください。
【対策】~スキンケア~
★皮膚を清潔に保ち、乾燥から守るために保湿しましょう
上記の乾燥肌やおむつかぶれなどすべてに共通しています。
・お部屋の湿度を40%以上に保つ。特に冬場は、加湿器等で調整しましょう。
・入浴はぬるま湯で。
・泡の弱酸性の石鹸やボディソープで、手かやわらかいタオルでやさしく洗う。
・やわらかいタオルでやさしく拭き取る。
・入浴後は、必ず保湿剤を塗り、水分を摂る。
保湿剤を塗る時間がない場合は、保湿効果のある入浴剤を使用することもできます。
・肌の露出を避け、長袖や肌に刺激のない衣服や寝具を選ぶ。
【褥瘡の治療】どんな治療があるのでしょう
褥瘡の治療では、傷を保護し、感染を制御する必要があります。
壊死した組織がある場合は、外科的あるいは薬剤使用により取り除きます。
その上で、感染を抑え、適度な湿り気を保つことで、皮下組織を再生していきます。
体にかかる圧力を分散させ、全身状態や栄養状態を見直し、改善することも大切です。
傷の状態にあった塗り薬を使用し、浸出液の状態にあったドレッシング剤(被覆材)を使用していきます。
【褥瘡の治療】栄養状態も大切
体圧分散やスキンケア、感染制御に局所治療を施しても、なかなか治っていかないことがあり、その背景に
「栄養不足」が関係しているといわれています。
傷を治すために、身体が必要とする栄養素の量は増えます。
《傷の回復に関わる栄養素》
・コラーゲンペプチド:私たちの体内に存在するたんぱく質。
皮膚の成分を作り出す細胞を刺激したり、直接皮膚の材料となります。
・亜鉛:皮膚の材料になるたんぱく質などを作り出すときに必要です。
・ビタミンC:皮膚の材料になるたんぱく質などを作り出すときに必要です。
これらの栄養素は、傷を治すためには、健康時より
・コラーゲンペプチドは1.5倍 ・亜鉛は2.5倍 ・ビタミンCは6倍 必要とされます。
もともと食事量が減ってしまっている患者さんに、普段の食事だけでこの量を摂り切るのは難しいと思われます。
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